今回は「積立投資」、特に「ドルコスト平均法」について詳しく解説します。
将来の資産形成に悩んでいる方、投資を始めたいけれど「いつ買えばいいのか」と迷っている方に特におすすめの投資手法です。
ドルコスト平均法とは?
「投資の真髄は、タイミングではなく時間にある」
ドルコスト平均法とは、投資のタイミングを分散させるシンプルながら効果的な戦略です。具体的には、
- 毎月決まった日に
- 決まった金額を
- 同じ投資対象(株式、投資信託、ETFなど)に投資し続ける
この方法の最大の特徴は、価格が高いときには少ない量を、価格が安いときには多くの量を自動的に購入できる点にあります。
なぜドルコスト平均法が優れているのか?
多くの投資初心者が陥る最大の罠は、『いつ買うべきか』という問いに囚われることです。
しかし、真の投資家はこう問う『どのように継続するか』。
市場タイミングのリスクを軽減
「底値で買って高値で売る」ことが理想ですが、実際にはプロの投資家でも市場のタイミングを正確に予測することは非常に困難です。ドルコスト平均法では、購入タイミングを分散させることで、いわゆる「一番高い時に全額投資してしまう」というリスクを大幅に軽減できます。
感情に左右されにくい
市場が下落するとパニックになり売却したくなったり、逆に市場が熱狂すると「今買わないと乗り遅れる」と焦って高値掴みしてしまったりすることがあります。定期的に一定額を投資するルールを決めておくことで、こうした感情的な判断に振り回されることを防ぎます。
投資のハードルを下げる
一度に大きな金額を投資するのは心理的なプレッシャーになりますが、毎月の給料から一定額を自動的に投資に回すことで、生活に無理なく継続できます。
ドルコスト平均法の実践例
例えば、毎月3万円をS&P500連動のインデックスファンドに投資するとします。
月 | 投資額 | 価格 | 購入数量 | 累計数量 | 累計投資額 | 資産評価額 |
1月 | 30,000円 | 1,000円 | 30単位 | 30単位 | 30,000円 | 30,000円 |
2月 | 30,000円 | 900円 | 33.3単位 | 63.3単位 | 60,000円 | 57,000円 |
3月 | 30,000円 | 800円 | 37.5単位 | 100.8単位 | 90,000円 | 80,667円 |
4月 | 30,000円 | 1,100円 | 27.3単位 | 128.1単位 | 120,000円 | 140,909円 |
このように市場価格が変動する中でも、安いときには多く、高いときには少なく購入することで、平均取得コストを抑えられます。この例では4か月目に市場が回復した時点で、すでに含み益が出ていることがわかります。
これがドルコスト平均法の魅力です。マーケットが予測できないからこそ、時間を味方につけるのです」
積立投資の始め方
投資目的と期間を決める
長期的な資産形成、老後資金、教育資金など、明確な目的を持つことが大切です。特にドルコスト平均法は最低でも5年、できれば10年以上の長期投資に向いています。
投資額の設定
無理なく継続できる金額を設定しましょう。月の収入の10〜15%程度が一般的ですが、状況に応じて調整してください。
投資先の選択
初心者には、低コストの分散投資ができるインデックスファンドやETFがおすすめです。特に以下の点に注目して選びましょう。
- 信託報酬(運用コスト)が低いもの
- 分散が効いたもの(世界株式、先進国株式など)
- 長期運用実績が安定しているもの
口座開設と自動積立設定
証券会社やネット銀行で口座を開設し、自動積立(定期定額購入)の設定をします。給料日の翌日など、資金が確保しやすいタイミングでの設定がおすすめです。
積立投資を成功させるコツ
継続こそ力なり
マーケットが下落したときこそ、むしろチャンスと捉えて継続することが重要です。短期的な値動きに一喜一憂せず、長期的な視点を持ちましょう。
リバランスを適度に行う
年に1回程度、ポートフォリオの配分を見直し、当初の配分に戻す「リバランス」を行うことで、リスク管理と収益性の向上が期待できます。
投資環境の変化に注意を払う
長期投資とはいえ、世界経済や投資環境の大きな変化には注意を払い、必要に応じて投資先の見直しを検討しましょう。
急がば回れ
投資は短期間で大きなリターンを狙うギャンブルではありません。「少額でも長く続ける」という姿勢が、複利の力を最大限に活かすことにつながります。
よくある質問
Q: 市場の暴落時も積立投資を続けるべきですか?
A: はい、むしろ安く購入できるチャンスです。ただし、生活に支障が出るようなら一時的に減額するなど柔軟な対応も検討しましょう。
Q: いくらから始めればいいですか?
A: 1万円からでも十分始められます。大切なのは金額ではなく継続できることです。
Q: どんな投資商品を選べばいいですか?
A: 初心者には、全世界株式や先進国株式のインデックスファンドがおすすめです。投資初心者であれば、つみたてNISAの対象商品から選ぶと安心です。
まとめ
積立投資・ドルコスト平均法は、「時間」という最大の味方を味方につける投資手法です。短期的な市場の上げ下げに一喜一憂することなく、着実に資産を増やしていくための王道です。
今日から積立を始めることで、5年後、10年後、そして退職時の自分に最高のプレゼントを用意してあげましょう。投資の旅は、最初の一歩を踏み出すことから始まります。
※本記事は投資の教育目的で書かれています。個別の投資判断は自己責任にてお願いいたします。
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