将来の自分を見失いかけた私が、“キャリアマップ”で見つけた答え。
夜23時、誰もいないオフィスで
「……また今日も、何をしていたんだろう」
資料作成に追われていた私は、ふとPCの時計を見て呟いた。終電にはまだ間に合う。でも、疲れきった心は、もう動きたくなかった。
同僚の結婚、友人の転職、SNSで見かける「自由に働く人たち」。 自分だって、最初は理想があったはずだ。
なのに今は、「なんとなく」で流される日々。
「このままで、本当にいいの?」
その夜、私の胸に灯った小さな違和感。 それが、すべての始まりだった。
なぜ今「キャリアマップ」が必要なのか?
翌週、ランチ中に何気なく話した悩みを、先輩が聞いていた。
「将来にモヤモヤしてる人って、多いよ。でもね、キャリアマップ作ってみたら、けっこうスッキリするよ」
「キャリア…マップ?」
「うん。5年後の自分を決めて、そこから逆算して今やることを決める。地図があると、道に迷いにくくなるよ」
私はピンと来なかったが、とにかく何かを変えたかった。 そしてその夜、机に向かい、小さなノートを開いた。
「このまま今の会社で働き続けていいのかな?」
「転職するか、資格を取るか、何か動かないと…」
こんな風に感じたことはありませんか?
現代は終身雇用が当たり前ではなくなり、副業や転職、独立も選択肢に入る時代です。そんな中で、自分の将来像が曖昧なままだと、選択を誤ったり、迷い続けたりしてしまいます。
そこで大切なのが、「キャリアマップ」という考え方。
これは、自分の価値観や目標に基づいて、「5年後にどうなっていたいか」を描き、それに向けての行動プランを可視化するものです。
キャリアマップとは?“なりたい自分”までの道しるべ
キャリアマップとは一言で言うと、
「5年後の理想の自分」から逆算し、現在〜未来の成長ステップを描く“キャリアの地図”
です。
このマップを持つことで、
- 目的意識が明確になる
- 行動に迷いがなくなる
- 学ぶべきスキルが明確になる
- チャンスを見極めやすくなる といった効果が期待できます。
では実際に、キャリアマップをどのように作ればいいのでしょうか?
キャリアマップ作成ステップ【実践ガイド】
最初に書き出したのは、自分のこれまで。
・最初の営業職、苦手だったけど「プレゼン褒められた」
・異動先のチーム運営で「人を育てるのが好き」と気づいた
・仕事は好き。でも、深夜残業が増えて「自由な時間がない」ことがストレスだった
私は気づいた。自分が本当にやりたいのは、“人の力を引き出す”こと。そして“自由に働く時間”も大切にしたいということ。
STEP1|自己分析:過去・現在・未来を振り返る
まずは、自分のこれまでと今を整理します。
- これまでどんな仕事をしてきたか?
- どんな時に「楽しい」「やりがい」を感じたか?
- 逆に、ストレスや不満を感じたのはどんな瞬間か?
- 得意なこと・人から評価されたことは?
「過去の成功体験」と「価値観」を洗い出すことで、方向性が見えてきます。
STEP2|理想の5年後を具体的に描く
次に、5年後にどうなっていたいか?をできる限り具体的に想像します。
例:
- 収入:今より+100万円、年収600万円
- 役職:チームリーダー or 管理職になっている
- 働き方:週3リモートワークで自由度が高い
- スキル:英語とプロジェクトマネジメントを習得
- プライベート:子育てと両立しながら成長できている
- マネージャーとして若手の成長を支えている
- 子どもがいても、柔軟に働ける環境で充実している
私は、ノートにその未来を書き出した。
ポイントは「見える化」すること。文字にして、理想を言語化しましょう。
STEP3|ギャップを認識する
そして現在の自分を振り返る。
・英語はTOEIC600点台 →「要強化」
・マネジメント経験はゼロ →「小さなプロジェクトから」
・業務に追われすぎて、未来の準備ができていない
私は思った。「ああ、ちゃんと“足りないもの”が見えてきた。だからこそ、動き出せるんだ」
現状と理想の5年後を比べ、足りないものを洗い出します。
- 必要なスキル:〇〇の資格、マネジメント力、ITリテラシー
- 経験値:プロジェクトのリーダー経験、部下の育成経験
- ネットワーク:業界内の人脈、社外での繋がり
- マインド:挑戦する意識、継続力、自己管理能力
このギャップこそが「学び」「行動」の起点になります。
STEP4|行動プランを立てる(ロードマップ化)
ここまで来たら、キャリアマップの最終工程。
目標を達成するために、5年間を1年ごとに区切って行動計画を立てます。
例:5年後に「課長になりたい」場合
- 1年目:業務改善や提案を積極的に行い、上司からの信頼を得る
- 2年目:チームのリーダーを任されるよう行動
- 3年目:部下育成とマネジメント経験を積む/業界セミナーに登壇
- 4年目:成果をまとめ、昇進面談や社内評価につなげる
- 5年目:管理職に昇進。次の目標へ
ポイントは、「いつ」「何を」「どうやって」やるかまで落とし込むこと。
週単位、月単位のタスクに分解すると実行しやすくなります。
キャリアマップを“生きた地図”にするコツ
私は半年に一度、キャリアマップを見直すことにした。
子どもが生まれたら? 会社が変わったら? 興味が変化したら?
地図は修正すればいい。大切なのは「止まらない」ことだった。
キャリアマップは一度作って終わりではありません。
以下のように定期的に見直すことで、“生きた地図”として活用できます。
- 半年に1回は、見直し・アップデート
- 実際にやったこと、得た成果を追記
- 新たに興味が出てきたことを柔軟に追加
- 環境変化(異動・育児・転職など)に応じて修正
キャリアマップのテンプレート例(図解イメージ)
【5年後のゴール】
・理想の働き方:〇〇
・目標ポジション:〇〇
・年収:〇〇万円
・身につけたいスキル:〇〇【現在地】
・スキル:〇〇レベル
・経験:〇〇
・課題:〇〇【毎年のステップ】
・1年目:〇〇
・2年目:〇〇
・3年目:〇〇
・4年目:〇〇
・5年目:〇〇
ノートやNotion、Excelなどで簡単に作れます!
まとめ|未来を“予想”せず、“設計”しよう
週に何度かは、自宅で仕事をし、コーヒーを片手に「今日のTODO」を整理する余裕もある。
全てが理想通りじゃなくてもいい。 でも確かに、あの日描いた「地図」が、今の自分をここまで連れてきてくれた。
キャリアは、迷っていい。でも、“設計”して進めば、必ず道になる。
あなたも、5年後の自分に会いに行きませんか?
キャリアは偶然に任せるものではなく、自分で設計するものです。
先が見えない時代だからこそ、自分なりの「地図=キャリアマップ」を持つことが、人生の指針になります。
焦らなくてもOK。
まずは、「理想の将来像」を考えるところから始めてみませんか?
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